生前贈与の相談は誰にすれば良いの?
2015年度に相続税の基礎控除額が引き下げられたことにより、富裕層の税金という認識であった相続税および相続税申告が以前よりも身近になりました。
それに伴い、相続税額を軽減する方法も注目されるようになったため、「生前贈与」という言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
生前贈与を活用すれば相続税額の軽減が期待できるほか、遺産分割トラブルについても回避できる可能性があります。
しかしながら生前贈与は相続税や贈与税に関して正しい知識を持ち合わせて行わないと、間違った利用をしてリスクを負うことも考えられるでしょう。
特に相続税の減額を期待して行ったにもかかわらず、最終的に納めた税金の総額が相続税額を上回ってしまっては意味がありません。生前贈与を検討したいとお考えの方は、専門家の意見を取り入れることをおすすめします。
生前贈与は専門家に相談して進めましょう
生前贈与とは、生きているうちに自分の財産を無償で相手方に与える行為になります。つまり自分が所有するものや金銭を他人にあげることです。
なお法律的な観点から付け足すと、贈与の契約を成立させるには贈与する側と贈与される側双方の同意が必要とされます。
それゆえ、相手が受け取ったことを認識していない名義預金などは贈与が認められず、相続時に相続財産として課税対象となる可能性があるので注意しましょう。
また、贈与によって金銭等を受けた側には贈与税を支払う義務が生じます。
贈与の課税方法には「暦年課税」と「相続時精算課税制度」の2つの方法がありますので、それぞれの違いについて解説いたします。
その1:暦年課税
暦年課税とは、基礎控除額である110万円を超えた分について贈与税を課税する方法です。それを用いた贈与を「暦年贈与」といいます。
生前贈与の方法としてよく利用されているため、聞いたことがある人も多いでしょう。
110万円の枠は1年ごととなるため、暦年贈与を複数回行うことで財産を減らしていく節税効果が期待できます。
その2:相続時精算課税制度
60歳以上の親や祖父母から、18歳以上の子供や孫に贈与する場合に選択ができる課税方法が「相続時精算課税の制度」です。
例えば不動産など高額な資産を生前贈与したいときなどに検討されるのが一般的です。
この制度を利用すると、合計で2,500万円まで贈与税が課せられず贈与を行うことができます。ただし相続時精算課税制度で贈与した分については、相続時に相続税の課税対象として持ち戻し計算されることになるため注意が必要です。
生前贈与は誰に相談すべきか
生前贈与を検討する際、どの専門家に相談するのが理想的とは一概にいえません。
なぜならば、士業の専門家はそれぞれ行うことができる職務の範囲が異なるからです。
税理士
税金に関する専門家といえば税理士です。
税理士の主な仕事は企業の会計処理の代行や税金の申告書作成などのため、対法人のイメージが強いのですが、個人のお客様からも相続税の申告等を請け負っています。
税金に関する特例を利用した節税方法や、税金を納めるうえでの注意点などについても相談が可能です。
【税理士に相談するメリット】
税理士は税金のプロフェッショナルですので、贈与税や相続税の節税対策等について確実な対策方法を提案してもらえます。
また、将来的にどの程度の相続税が発生するかというのを財産内容から換算して対策を練ることができるため、何から始めてよいのかわからないという方にもおすすめです。
税理士に依頼すれば、さまざま控除や特例を組み合わせてより効果のある方法を選択できるでしょう。
【税理士に相談するデメリット】
あくまで税理士への相談が必要なのは、相続税等が課せられるだけの財産を所有している人になります。相続税が発生しないのであれば、税理士に依頼するメリットは少ないでしょう。
司法書士
法律業務に深くかかわる司法書士のメイン業務は不動産登記であり、また民事事件についてもある程度までなら関与が可能です。それゆえ弁護士に依頼することが難しかったり、大ごとにしたくなかったりする場合などにも選ばれています。
不動産を生前贈与する際には不動産登記が必須なため、司法書士にかかわってもらう必要があります。
【司法書士に相談するメリット】
司法書士は不動産登記の専門家のため、生前贈与で不動産を子や孫に譲りたいとお考えの際には、その方法について詳しく説明してもらえます。
また、将来発生する相続時にどのように不動産を分配すべきかなどの相談を行うのも適切です。
【司法書士に相談するデメリット】
弁護士に比べれば費用は安いものの職務上権限の範囲があるため、請求額が140万円を超える民事紛争に関しては対応ができません。
行政書士
行政に関する文書作成の専門家が行政書士です。
主な仕事は役所などの官公署関連へ提出する書類の作成になりますが、それらの他にも権利義務に関する書類の作成や相談も行います。
生前贈与の際には贈与契約書の準備が必要なため、書類作成のため行政書士にかかわってもらうのがおすすめです。
【行政書士に相談するメリット】
弁護士や司法書士よりも比較的報酬費用が抑えられていることもあり、気軽に相談できる専門家といえます。
また、書類作成の専門家ですので、贈与契約書のほかにも相続手続きに関係する遺産分割協議書の作成や必要書類の入手の代行も任せられます。
【行政書士に相談するデメリット】
弁護士や司法書士と異なり、民事紛争の代理人になる権限は行政書士にはありません。
堺なかもずシニアの相談窓口ではお客様が望む生前贈与が進められるよう、豊富な知識と経験を持つ司法書士がサポートいたします。税務に関することはパートナーの税理士と協力して行いますので、どうぞご安心ください。
初回相談は完全無料です。なかもず、堺の皆様からのお問い合わせを心よりお待ちしております。