遺言能力と遺言の有効・無効について
ご自分が亡くなった後のために財産の分割方法や扱いなどについて言い残すことを「遺言」といい、その内容を書面化したものがいわゆる「遺言書」です。
遺言書は誰でも書けるものなのかといいますと、必ずしもそうとは限りません。ここでは遺言書を作成する際の遺言能力、そして遺言の有効・無効についてお伝えいたします。
遺言能力について
遺言能力といわれてもピンとこない方もいるかと思いますが、遺言の内容を理解・判断する能力のことを指します。
遺言の趣旨は遺産分割において遺言者の意思を反映することであり、遺言内容を理解したうえでどのようなことが生じるのかを判断できない状態での遺言書作成は、その趣旨に反するといえます。
よって、遺言能力がないとみなされる状態で作成した遺言書は、無効として扱われることになります。
遺言能力の有無の判断
遺言能力の有無の判断は、以下の2つによって行われます。
- 年齢的に遺言能力を有しているとみなされる、15歳に達した者
民法961条によって定められている、年齢的な判断。 - 事理弁識能力を有している者
自らの行為により法的な責任が生じることを認識できる能力にもとづく判断。
事理弁識能力を有していない者として具体的に挙げられるのは、認知症を患っている方や精神疾患を抱えている方です。このような方は判断能力の低下がみられるため、遺言書を残したとしても無効となってしまいます。
しかしながらこのような症状の方でも遺言内容や生じる結果について理解できるようであれば、遺言書の有効性が認められるケースもあります。
遺言書の有効・無効について
遺言能力があると判断された場合は法的に効力をもつ遺言書を作成することができますが、要件を満たしていなければ遺言能力を有していても当然ながら無効となってしまいます。
では、どのような場合に遺言書は無効となってしまうのでしょうか。遺言書の種類別にご説明いたします。
遺言者自身で作成する「自筆証書遺言」の場合
- 遺言書に作成日が記載されていない
- 遺言者の自筆で書かれていない
- 遺言者以外の方が書いた
- 遺言者の署名・押印がされていない
- 15歳未満の方が書いた
- 判断能力がないとみなされた
- 正式な書き方で加筆修正がされていない 等
※この場合には加筆修正箇所のみ無効
公証役場で作成する「公正証書遺言」の場合
公正証書遺言は法律のプロである公証人が作成することから、無効となる可能性はほぼありません。しかしながら以下のようなケースでは無効となることも考えられます。
- 法定相続人以外が贈与先に指定されていた
指定された方の同意があれば遺言内容を無効にできます。 - 公証人の判断能力がないと判断された
- 作成時に立ち会った証人が不適格だと判断された
- 作成日に遺言者の判断能力がないと公証人が判断した
無効となる以前に作成自体ができません。
存在だけ証明してもらう「秘密証書遺言」の場合
秘密証書遺言は遺言者自身で作成する遺言書ですので、自筆証書遺言が無効となるケースと同様です(自筆で書かれていない点を除く)。
上記の遺言書すべてにいえることですが、遺言書の内容に相続人全員が異を唱える場合には有効な遺言であったとしても認められることはありません。
遺言書の有効・無効の判断については断言できないケースもありますので、遺言書を作成する際は相続・遺言書作成に関する豊富な実績を誇る堺なかもずシニアの相談窓口へ、ぜひともご相談ください。
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