家族信託と生前贈与の違いについて
生前対策として検討されることの多い「家族信託」と「生前贈与」ですが、どちらを選ぶべきかは対策したい内容によって異なります。
たとえば、親が認知症を発症してしまった場合に子が財産管理を行えるようにしたいのであれば家族信託、将来的に生じる相続税の負担を軽減したいのであれば生前贈与というように、目的に合わせて選ぶことが重要です。
両者どちらを選択するにせよ、専門的な知識が求められることに違いはありません。ここでは家族信託と生前贈与の違いについてご説明しますので、ご一緒に確認していきましょう。
家族信託と生前贈与の違いとは
家族信託と生前贈与の違いは何かといいますと、家族信託が財産管理や認知症対策を目的としているのに対して、生前贈与の目的は相続税対策となります。
それぞれどのようなケースにおいて利用すれば良いかについては、以下の通りです。
- 親が認知症を発症した際に、銀行口座の凍結によって預貯金の入出金ができなくなる事態を回避したい
- 親が施設への入居や病院への入院をする際に、親の自宅を売却して入居・入院資金に充てたい
- 親が亡くなった際の財産にかかる相続税の負担を軽減したい
- 再開発地域が近隣にあることから不動産の価格の高騰が予想されるため、あらかじめ子の名義に変更しておきたい
家族信託では親が所有する財産の管理・運用・処分といった権限を子に移行できるため、上記1と2のケースにおいて有効な手段だといえます。
また、親が所有する財産を子に移行し減らすことを目的とする3と4のケースについては、生前贈与を利用したほうが良いと考えられるでしょう。
目的に合わせた生前対策を講じておけば、もしものことがあった際にご家族が困るような事態を回避することも可能です。
税金面における違いとは
生前対策として家族信託または生前贈与を利用する場合、税金面については以下のような違いがあります。
- 家族信託:贈与税はなく、相続が発生した際に相続税の課税対象となる
土地には固定資産評価額の0.3%、建物には固定資産評価額の0.4%が、不動産の登録免許税として別途かかります。 - 生前贈与:贈与税の課税対象となるが、相続税は対象外(相続時精算課税を利用した場合は除く)
土地・建物には固定資産評価額の2%が不動産の登録免許税として別途かかります。※110万円以下の贈与の場合、贈与税は不要
上記を見てもわかるように、相続税の課税対象か否かという点と不動産の名義変更時に必要な登録免許税の額が、家族信託と生前贈与における税金面の違いです。
贈与税は相続税よりも高い利率となっており、家族信託と生前贈与では登録免許税の額に5倍もの差があります。
生前対策として検討される際は、このようなコストも含めて考えることをおすすめいたします。
くり返しになりますが、生前対策として家族信託または生前贈与を利用する場合、目的に合わせて選ぶことが重要です。認知症を発症した場合の備えとして生前対策を講じたいのであれば、財産管理や認知症対策を目的とする家族信託のほうが適していることはいうまでもありません。
家族信託と生前贈与は一緒に利用することも可能ですので、「相続税対策もしたい」とお考えの方は生前対策を得意とする堺なかもずシニアの相談窓口まで、まずはお気軽にご相談ください。
堺なかもずシニアの相談窓口では初回無料相談を設け、生前対策に関するお悩みやお困り事を詳しくお伺いしております。そのうえで最適な生前対策をご提案させていただきますので、どんなに些細なことでもどうぞお気軽にお問い合わせください。